がん患者さんに糖尿病の食事療法を行うべきか?  ☆内科 糖尿病内科☆ | 福岡の在宅医療・訪問診療「クリニック・ホームドクターズ」総合内科・糖尿病内科・消化器内科

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がん患者さんに糖尿病の食事療法を行うべきか?  ☆内科 糖尿病内科☆

皆さん、糖尿病の食事療法というと何を思い浮かべますか?食べ物を減らして、カロリーを減らし、一日に摂取する栄養(エネルギー)をできるだけ減らそうとお考えではないでしょうか。日本では、まずエネルギー制限食が採用されていますが、実はさまざまな研究でエネルギー制限食の有効性を示すものは少なく、どちらかというと糖質制限食の方が推奨されています。欧米では他に地中海食やベジタリアン食が行われています。簡単に、何が違うかというと、糖質制限食は、糖質以外の栄養素、蛋白質や脂質を増やし、糖質を極力減らしていきます。地中海食では、オリーブオイルで脂質摂取を行い、植物性食品を多量に摂取します。ベジタリアン食は、動物性食品の摂取をほぼ完全に減らしています。血糖管理における糖質制限食が一歩リードしている印象ですが、他の食事療法も一定の効果は得られているようです。

当院では、外来でも訪問診療においてもがん患者さんが多く利用されております。がん患者さんは様々な治療過程の方がおられ、食事量や体重なども大きく変化されます。がん患者さんが、糖尿病を合併されている場合、食事療法はとても難しくなる場合があります。がん患者さんでは、がんそのものの影響や、手術、抗がん剤による影響で食欲が低下し低栄養になりやすいです。また、がん患者さんは体力も落ちており、エネルギー制限食を行うことでより病状を悪化させかねません。治療法に関しては、治癒が望めるのか、治癒が期待できず病気と付き合っていくのかで大きく変わります。治癒が望める場合は今後の糖尿病合併症予防の観点や周術期、抗がん剤などからの早期回復のため、できるだけ血糖コントロールを行なっていく必要があるでしょう。しかし、治癒が望めない患者さんの場合は、ある程度の高血糖も許容し、血糖管理も緩和します。食事はむしろ好きな食事を自由に取らせてあげることが本人の幸せにつながるかもしれません。食事は病状が悪化し状態が悪い患者さんの1つの楽しみでもあります。そんな時、家族が作った手作りの、自分の好きなものを自由に楽しんで食べて頂きたいと思います。私はできるだけ患者さんの残された時間を有意義に、幸せに過ごしてほしいと思ってます。そのため、治癒が難しいがん患者さんに対するエネルギー制限食は望ましくない場合が多いのです。「希望される場所で希望される医療を」が当院のモットーであり、患者さんやご家族と話し合いながら、家や施設で過ごしやすいように最適な血糖コントロールを目指し飲み薬やインスリンの調整など行っております。

 

 

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