自宅で最期を迎えることはできるのか、不安に思っている方へ | 福岡の在宅医療・訪問診療「クリニック・ホームドクターズ」総合内科・糖尿病内科・消化器内科

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自宅で最期を迎えることはできるのか、不安に思っている方へ

「できれば自宅で最期を迎えさせてあげたい」そう考えるご家族は多いですが、実際に自宅で看取ることができるのか、不安に感じている方も少なくありません。医療的に大丈夫なのか、苦しまずに過ごせるのか、急変したときはどうなるのか、いろいろな心配が頭に浮かぶと思います。

結論から言うと、在宅医療をしっかり整えれば、自宅で最期を迎えることは十分可能です。実際に私たちも多くの患者さんをご自宅でお看取りしています。ただし大切なのは、「何となく自宅で」ではなく、きちんと準備をした上で迎えることです。

倦怠感、食欲不振など終末期には様々な症状が出現してきます。大きなポイントとして、これらの症状に寄り添い、症状緩和をしっかりしてあげることです。特に大事なのが、苦痛のコントロールです。終末期になると、痛みや呼吸苦、不安などが出てくることがあります。これらに対しては、内服薬だけでなく、貼付薬や注射、持続皮下注などを使いながら調整していきます。適切に対応すれば、強い苦しみなく過ごせる方がほとんどです。ご家族からも「思っていたより穏やかでした」と言われることが多いです。

次に重要なのが、急変時の対応です。自宅にいると「何かあったときどうすればいいのか」という不安がつきまといます。在宅医療では、あらかじめ起こりうる変化を説明し、どう対応するかを共有しておきます。夜間や休日でも連絡が取れる体制を整えておくことで、ご家族の安心感は大きく変わります。当院では、パンフレットを準備しており、各ご家庭に時期が近づいてきたら事前にご説明しております。

また、ご本人の意思を確認しておくこともとても大切です。延命治療をどこまで行うのか、救急搬送を希望するのか、それとも自宅で自然な経過を望むのか。元気なうちに話し合っておくことで、いざというときに迷いが少なくなります。この話し合いができているかどうかで、ご家族の負担は大きく変わります。当院介入前の状態が安定されている時期に話し合うのは難しいとは思いますが、最近は事前に話されているご家庭もよく見受けられるようになりました。もし当院介入の時点でそのような話し合いされたことがない場合でも、ご相談いただければどのように寄り添い、話し合いしていくかを一緒に考えていくようにしています。

実際の現場では、最後の数日はゆっくりと時間が流れます。食事が減り、眠っている時間が長くなり、少しずつ体の機能が落ちていきます。大きな処置をすることは少なく、そばで見守る時間が中心になります。ご家族が手を握ったり、声をかけたり、その時間自体がとても大切なものになります。

もちろん、自宅での看取りにはご家族の負担もあります。不安や緊張もあると思います。ただ、訪問診療や訪問看護が関わることで、その負担は一人で抱えるものではなくなります。困ったときに相談できる相手がいるということが、在宅医療の大きな支えになります。些細なことでもなんでもご相談下さい。

自宅で最期を迎えるというのは特別なことではなく、その人らしい時間を大切にする一つの選択肢です。病院ではなく、自分の慣れた場所で、家族に囲まれて過ごす時間には、幸せで穏やかさがあります。実際に経験されたご家族からは、「大変だったけれど、自宅でよかった」と言われることが多いです。残された時間が限られた際に、その時間を少しでも有意義に、精一杯貴重な時間にしてほしい、後悔のないように、これまで一緒に生きてきたご家族と一緒に大切な時間を過ごしてほしい、そう思います。

迷っている段階でも構いません。今すぐ決める必要はありませんが、少しでも考えているのであれば、早めに相談していただくことで選択肢は広がります。在宅医療では、その方とご家族にとって一番納得できる形を一緒に考えていきます。