季節の変わり目に多くの方が悩まされる風邪(感冒)。のどが痛い、咳が続く、鼻水がひどいなど、その原因や対処法を改めて知っておくことは非常に重要です。特に様々な基礎疾患をお持ちのご高齢の患者様が多い訪問診療の場では、軽症に見える風邪でも注意が必要な場合があります。今回は風邪の原因や対処法、そして訪問診療での対応について解説します。
【風邪(感冒)】
多くが様々なウイルスが原因で引き起こされる上気道感染症です。これから本格的な流行シーズンに突入します。皆様、気をつけていますか?特に秋から冬にかけて流行し、寒暖差が激しい時期いかかりやすい病気です。ウイルスからの感染が最も多く、全体の80%以上をしめます。感染した人が1回のくしゃみや、咳をすることで、ウイルスなどの感染源が飛び散ります。その飛沫を直接吸いこみ、飛沫感染します。また、感染源に触れたり、空気中に飛び散った感染源を手で触れると、鼻や口、目、などから感染する原因となります。場合によっては、健康であれば免疫が強く、多少のウイルスに対抗することもできますが、老化、睡眠不足、疲れなどによって、免疫機能が低下し体内に感染源が入り込みやすくなります。訪問診療をご利用の患者様も、体力低下されている方が多いので注意が必要です。風邪から肺炎に、重症化される方もいます。
【風邪(感冒)の症状】
せき・鼻水・たん・のどが痛い・発熱などです。
<予防法>
【手洗いとうがい】
体に付着したウイルスからの感染を防ぐために、帰宅時や食事の前には、必ず手を洗い、うがいをしてください。
【睡眠をとる】
睡眠不足からくるストレスや疲れは、免疫力の低下を招き、風邪を引きやすくします。毎日できるだけ睡眠をとるようにしてください。
【室温、湿度を調整する】
ウイルスが広がったり、増殖できない環境を作るために、室温20~25℃に、湿度60~80%になるように調整してください。湿度の調整は加湿器はもちろん、濡れタオルを干したり、お湯を沸かしたりすることでも行えます。
【バランスのいい食事をとる】
栄養不足は免疫力低下や体力低下の原因のひとつです。ビタミンやミネラルを積極的にとりバランスの良い食事を心がけましょう。
【体を冷やさない】
体の冷えは自律神経の乱れを引き起こし、免疫力を低下させます。できるだけ冬場は体の温度を温かく保つように心がけてください。
<治療法>
もし感冒症状が出現したら、早めに病院受診してください。ウイルス感染がメインですので、感冒薬などで対症療法となりますが、これからの時期ですと、インフルエンザやコロナ検査を行い、感染拡大を防ぐことも大事です。ご高齢な患者様や基礎疾患をお持ちの患者様は、少しでも症状をやわらげ、体力低下を防ぎ、肺炎などの2次感染を防いでください。
同じく、訪問診療においては、移動困難な状況を考慮し、風邪の早期発見と適切な対症療法が求められます。風邪は一見軽症に見えることが多いですが、持病を抱える患者さんは肺炎などの重篤な合併症につながる可能性もあるため、訪問時には注意深い診察と早期の治療が重要です。加えて、家族での看護方法や予防策の指導も併せて行うことで、患者さんの生活の質を向上させ、風邪の重症化を防ぐことが可能です。施設内でも多数の感染拡大が懸念されますので、施設スタッフと協力し隔離対応など早期に取ることも大切です。
これからの季節、体調管理にはぜひ、注意していただき、日々の生活習慣を見直してみてください。何か気になる症状や
ご不安がありましたら、いつでも私たち訪問診療チームにご相談ください。
皆様の健康を全力でサポートいたしますので、安心してお過ごしください。